image02

横浜内科学会は、1954年(昭和29年)5月に内科開業医を中心に創設され、初代会長は佐藤三千三先生、そして守一雄先生、今井波吉先生、鈴木潔先生、中山脩郎先生、南澤康雄先生、宮川政昭先生が勤められ、そして2015年より小野がその責を負うこととなりました。横浜市医師会の分科会として、主に内科を標榜する医師会員約400名を擁し、地域医療を担当する医師としての生涯研修、地域医療・保健情報の伝達をその任の中心として行っております。現在前任の宮川政昭名誉会長から引き継ぎました主たる事業は、下記の通りです。分科会として呼吸器疾患の知識をふやす会、循環器研究会、消化器疾患の知識をふやす会、糖尿病研究会、神経疾患研究会、高血圧腎研究会、総合診療研究会の7分野が存在し、それぞれ独自性を持って活動し、時代の先端を行く医学や日常診療に直結した医療の研修・研鑽を行っています。

また、各区医師会との連携を目的に例会としての研究会を市内18区医師会の持ち回りで年に2~3回開催し、さらに会員の参加する「木曜日に肺がんをよむ会」を後援するとともに、必要に応じて各研究分野の第一線で活躍されている方を講師として、講演会や研究会を行っています。
実際の事業展開の一部をお示しします。慢性腎臓病(CKD)対策の一つとして、横浜市内の腎臓病専門病院の医師たちとプライマリケア医の病診連携のために、横浜市内統一様式の横浜CKD連携協議会精査依頼書を作成し、「プライマリケア医から腎臓病専門医への紹介システム」を構築しました。また、クリニックでの心肺蘇生CLS(Clinic Life Support)の実技訓練も始めました。クリニックでは通常医師1人しかいません。医療機関内で、心肺蘇生が必要な患者さんが発生した場合、医師は事務員も含めたスタッフと協力して、心肺蘇生をすることになります。円滑な心肺蘇生には、医師だけでなくスタッフにもその方法を知ってもらう必要があります。さらに糖尿病の増悪因子である歯周病に注目し、横浜市歯科医師会と糖尿病医会歯科連携協議会も始めました。これは糖尿病性網膜症の早期治療介入のため以前に策定された横浜市眼科医会との連携協議のモデルが参考となっております。

「横浜医療塾」という啓発事業も「生活習慣病」にかかわるものから「認知症」「呼吸器疾患」「医療と宗教」「死生観」「次世代の医師へのメッセージ」など様々な分野に及び、市民や医療関係者の方々から好評を博しております。またコメデイカルに対する講演会は糖尿病や喘息の吸入療法に関する事項を取り上げ、多くの参加者を集めております。
医学はすべての人に同じ解釈を要請するのに対し、医療は多様な解釈を許容する。個々に日常の研鑽に裏打ちされた創意工夫があってしかるべきです。さまざまな疾患のガイドラインを熟知することも大事ですが、私たち横浜内科学会員は横浜市民の重い信託を受けていることを自覚し、医師としての謙虚さ、矜持、品性を大切に市民の負託に応えて行く。これこそ私たちにかけられた大きな責務と考えます。右手に理念、左手に知性を持ち、心にゆとりのある品格を有する横浜内科学会であり続けることを誓います。

“ただ良心に恥じぬことだけが我々の医療への確かな報酬である”

横浜市医師会 横浜内科学会 会長   小野 容明